Single 「シングル」と家族/縁(えにし)の人類学的研究

member/メンバー

Hiroki Okada

岡田 浩樹

所属 神戸大学 大学院国際文化学研究科 教授
URL http://web.cla.kobe-u.ac.jp/staff/hokada/
対象、テーマ 儒教的家父長制、ニューファミリー、グローバルファミリースケープ、強いられたシングル、売買春
フィールド 韓国、日本、中国(朝鮮族)、

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研究予定

本研究では、改めて文化人類学の視点から東アジア諸社会に新しいアプローチを生み出すことができるものと期待している。儒教の影響が大きい東アジア諸社会においては、「伝統社会」の家族親族の編成原理はそのまま社会全体の編成原理と見なされてきた。このようなアプローチ基づく研究は、形を変えて儒教的家父長制批などの今日のジェンダー研究などにも引き継がれている。本研究会で得た視点により、従来の研究を批判的に検証し、父系出自原理が強固な家族・親族編成の基盤となってきた韓国社会におけるシングルの問題、あるいは近年の変動の中で、父系出自原理や儒教的家族観が揺らぐ中でのシングルの新たな生活実践についてかを検討したい。
また現在進行中の他の研究プロジェクトと関連させ、副次的なトピックを三つ設定する。第一に移民やマイノリティにおけるシングルの問題である。具体的には農村花嫁や国際結婚、偽装結婚などの問題と「シングル」の生活実践と戦術行使、そして「global family-scape」とも言える現象に着目する。第二に、日本の地方都市にける「ニュータウン」の形成と「近代的ニューファミリーイメージ」形成の中で、いかなる変化がシングルに起きたかなどの問題である。第三に、家族イデオロギーや性的規範から排除された存在、逸脱(離脱)した「強いられたシングル」と言うべき存在に着目する。具体的には、韓国(朝鮮)の妓生や性産業従事者、日雇い労働者、宗教的職能者である。こうした問題を他の分野やより専門的な研究を行っている他の共同研究員の発表、議論において深めることを期待している。
 

 

主な業績

(単著)
1.2001(平成13)年2月,『両班-変容する韓国社会の文化人類学的研究』,単著,平成12年度科学研究費出版助成による出版.総頁数315頁,学位論文を加筆訂正(書き下ろしの章を含む),風響社.

(共編著)
2.2010(平成22年)3月 岡田浩樹・定延利之編『可能性としての文化情報リテラシー』,ひつじ書房

1. 2007(平成19年)3月,『国立民族学博物館調査報告69 グローバル化と韓国社会 -その内と外』,共編(朝倉敏夫・岡田浩樹編), 国立民族学博物館.

(共著)
10.2007(平成19年)5月,『やもめぐらし―寡婦の文化人類学』,共著,椎野若菜編,全339頁中18頁(272~289頁)「『イエ』の外に曝される寡婦-儒教的寡婦像とグローバル化のはざまで」,明石書店.

9.2007(平成19)年3月,『ふるさと資源化と民俗学』,共著,岩本道弥編著,全298頁中28頁(253~280頁)「民俗から『文化』への転移」を担当,吉川弘文館

8.2005(平成17)年9月,『電子メディアを飼いならす』,共著,飯田卓・原知章編著,全277頁中15頁(181-196頁「『伝統文化』のリアリティとメディア」を担当,国立民族学博物館共同研究の成果報告,せりか書房.

7.2003(平成14)年3月,『ものを通して見た朝鮮民俗文化』,共著,朝倉敏夫編著,全224頁中26頁(123-1  48頁担当)を担当.「『不在』から増殖へ -モノを通して見た韓国仏教の現在」,国立民族学博物館共同研究の成果報告,新幹社.

6.2002(平成14)年5月,『植民地主義と人類学』,共著,山路勝彦,田中雅一編,全566頁中32頁(513-544頁担当)担当部分,「韓国仏教の屈折と蛇行 -妻帯僧問題に見るポストコロニアル状況-」,京都大学人文科学研究所共同研究会「植民地主義と人類学」成果報告,関西学院大学出版会.

5.2001(平成13)年5月,『東アジアにおける文化の多中心性』,共著,三尾裕子・本田洋編著,全268頁,45~83頁(「沈黙する多数派-韓国仏教の『過去』に関する試論」:計38頁)を担当.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究報告を一部修正し,出版,風響社.

4.2000(平成12)年3月,『健康の科学シリーズ1 これでいいのか日本の食事 -世界の中の日本の食文化-』,共著,木下冨夫監修,全159頁、うち57~94頁(「エスニックフードと個食 -文化人類学的視点から見た日韓食文化の比較-」:計37頁を担当,学術センター出版局.  木下富夫監修.

3.1999(平成11)年3月,『装いの人類学』,共著,鈴木清史・山本誠編著,全249頁うち75~102頁(「白衣とチマ・チョゴリ-民族のレトリックとしての韓服-」:計27頁)を担当. 著者:曹建南・楊海英・中原ゆかり・熊野建・岡田浩樹・小林勝・中山紀子・山口恵里子・山本誠・鈴木清史,人文書院.

2.1997(平成10)年8月,『シリーズ建築人類学4 住まいにいきる』,共著,佐藤浩司編,全 260頁のうち,206~228頁(「内と外をつくる家- 韓国人 | 都市に浮かぶ農村社会」:計22頁)を担当,学芸出版社.

1.1987(昭和62)年11月,『現代のこころ-崇教真光-』,共著,畑中幸子編著,全174頁のうち,97~106頁(「道場体験記」:計9頁),129~135頁(「明日への試練 -久々野教場 未来の導士たち-」:計6頁)を担当,旺文社.



Ⅱ.論文
16. 2007(平成19)年9月,「人類学“at home town” -地域社会への貢献をめぐる日本の人類学の諸問題」,単著,『文化人類学』,72-2:241-266.

15.2007(平成19)年3月,「『多文化共生』とエスニックマイノリティの選択 -震災後のアジアタウン構想と長田マダンの事例を通して-」,単著,朝倉敏夫・岡田浩樹編,『国立民族学博物館調査報告69 グローバル化と韓国社会 -その内と外』,157-178,国立民族学博物館.

14. 2006 (平成18) 年3月,「民俗文化の活用と地域おこしの『の』民俗学・民俗学『の』民俗文化の活用と地域おこし」,単著,『京都民俗学』,22:53-68,京都民俗学会.

13.2005 (平成17) 年11月,「単一民族国民国家の影の下で-グローバル化と韓国内の外国人労働者-」,単著,『アジア遊学』, 81:109-120,勉誠出版.

12.2003 (平成15)年3月,「日本の地域社会における「文化」への転移と構築-岐阜県飛騨地方における事例を中心として-」,単著,『インターカルチュラル』,1:48-70,日本国際文化学会.

11. 2002 (平成14) 年3月,「新生殖医療技術は儒教の下僕か?-韓国社会における受容と対応-」,単著,『民族学研究』,66-4:414-438,日本民族学会.

10.2001(平成13)年,「老いの民俗学は可能か-韓国の還暦儀礼を事例とした検討」,単著,『国立歴史民俗博物館研究報告』,91:149-166,国立歴史民俗博物館国際シンポジウム研究報告論文集.

9.1999 (平成11) 年11月,「沈黙する多数派 -韓国仏教の『過去』に関する試論」,単著,『東アジアにおける文化の多中心性』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究報告),pp.45-83,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト報告書.
 

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