Single 「シングル」と家族/縁(えにし)の人類学的研究

member/メンバー

Akitomo Shingae

新ヶ江 章友

所属 財団法人エイズ予防財団/名古屋市立大学看護学部 リサーチ・レジデント
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対象、テーマ -
フィールド 日本

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研究予定

同性間での性行為は、通時的・通文化的に見られる現象である。しかしながら、自らを「同性愛者」とアイデンティファイし、同性同士でカップルを形成し、一生をともにするという様式は、西洋社会を中心とした近代に特有な生のあり方である。また、iPS細胞をめぐる近年の科学技術の進歩は、従来の生殖のあり方そのものを大きく変えようとしており、同性間で自分の遺伝子をもった子供を産むということも決して夢物語ではなく、近い将来、条件がそろえば実現可能となり得る日が来るかもしれない。
近年、人権などの観点から同性婚が認められるべきだという議論が法学や社会学などの分野を中心に行われるようになってはいるものの、同性婚が認められれば同性愛の問題すべてが解決するわけではない。結婚/恋愛/セックスという三位一体が崩壊しつつある現在、「同性愛者」が他者とどのような関係を形成しているのかという視点から、近代家族の制度のあり方そのものを再考するほうが、より生産的な議論が展開できるのではないか。
現在日本では、男性同性間の性行為によるHIV感染が広がっているが、その背景には「『同性愛者』として生きていく自分の未来が描けない」ということがあるのかもしれないと、最近の聞き取り調査を通して感じている。文化人類学者のギルバート・ハートがある本の中で、「レズビアンやゲイの人生の目的とは何か?」と問うていた。最近自分も、いろいろな人の語りを聞きながら、その意味について深く考えるようになってきている。

 

 

主な業績

2009 新ヶ江 章友 , 金子 典代 , 内海 眞 , 市川 誠一「HIV抗体検査会に参加した東海地域在住 MSM (Men who have Sex with Men) の性自認とHIV感染リスク行動」日本エイズ学会誌 = The journal of AIDS research 11(3), 255-262, 2009-08-20 .

2011「[研究動向]クィア人類学の可能性を探る―男性ジェンダー研究とセクシュアリティ研究の架橋―」『社会人類学年報』VOL-37、東京都立大学社会人類学会=編
 

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