Single 「シングル」と家族/縁(えにし)の人類学的研究

member/メンバー

Kiyoshi Tadokoro

田所 聖志

所属 東京大学大学院医学系研究科 特任助教  
URL http://sites.google.com/site/tadokorok/
対象、テーマ -
フィールド パプアニューギニア、日本

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研究の予定

2002年以降、継続的にパプア・ニューギニアのテワーダ社会において社会人類学の視点で現地調査を実施してきた。本研究にかかわるトピックとしては、人間集団の基礎単位をなす親族の形成・展開過程についての考察をおこなってきた。具体的には、テワーダ社会の結婚の理念と親族呼称体系との関連性や、夫婦の基盤をなす性関係や、夫を亡くしたあとの寡婦の社会的処遇を扱ってきた。また本研究プロジェクトの前身である「シングル」と社会―人類学的研究(2007-2009年度)に参加してからは、日本語の「ひとり」という言葉のもつ概念をニューギニアの民族誌的記述における記述概念として生かす方法を、寡婦と未婚男性を例にして考えてきた。
 本プロジェクトにおいて、これまで行った親族に焦点をあてた上記の研究関心を発展させ、次の三つの側面からの研究を予定している。第一は民族誌的研究であり、具体的には結婚うることが「一人前」とされる社会において、結婚という選択をとらない男性の生き方や、出稼ぎ労働に従事する男性の多い社会において村から離れるという男性の行動や経験と家族の形成と維持との相互関係を検討し、さらには、そこから得られる親族関係の実態と、家族計画の進展するパプアニューギニアの社会背景の中で国家の提示する家族像との齟齬も研究対象として取り上げたい。第二は、ニューギニアの民族誌的研究をふまえたうえで、現在、家族計画などの国家政策によっていわば「上から」提示されるfamilyという言葉に対する、現地の人々による解釈や反発や受容の様態を、通文化的かつ世界中の国家の事例から比較検討したい。
 

主な業績

論文    

2011 「パプアニューギニアの子育て(親族関係)」『保健の科学』53巻1号

2010 "An Analysis of the organization of groups for fish poisoning among the Tewada of Papua New Guinea," People and Culture in Oceania 26.

2007 「ニューギニア高地周縁部における親族名称体系と婚姻をめぐるカテゴリー――ガルフ州,テワーダの事例」『比較家族史研究』第21号

2007 「老人クラブと沖縄県人――神奈川県横浜市鶴見区における3地区の事例報告」『高齢化社会から熟年社会へ――都市形成過程における高齢者の多様化とそのセーフティネットワークの構築』研究代表者:伊藤眞,平成18年度傾斜的研究費(都市形成に関わる研究)研究成果報告書

2006 「漁撈儀礼の実践と年齢秩序の相関――パプアニューギニア・テワーダにおける集団魚毒漁を例として」『文化人類学研究』第7号

2006 「ニューギニア高地辺縁部における空間構成――テワーダのアギ(aki)概念を中心として」『南方文化』第33号

2006 「パプアニューギニア,アンガ系諸集団による名乗りの実践の現在――『アンガ』,地域開発,エスニック・アイデンティティ」『日本オセアニア学会Newsletter』第85号

2006 "Social Organization and Leadership among the Ivori Speaking People, Gulf Province: With a special reference to poison fishing among the rivers," Fieldwork report presented to The National Research Institute

2005 「漁撈集団の組織化――パプアニューギニア・テワーダにおける河川魚毒漁の実践を例に」『社会人類学年報』第31号

2001 「イニシエーションと還流的労働移動の節合――パプアニューギニア,サンビアの事例から」『社会人類学年報』第27号

2000 「クククク――パプアニューギニア高地,アンガ系諸集団の呼称についての覚え書き」『日本オセアニア学会Newsletter』第67号

 

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