Single 「シングル」と家族/縁(えにし)の人類学的研究

2010年度第1回研究会

2010年度第1回研究会

日時:2010年7月11日(日)13:00-18:00
場所:AA研小会議室(302号室)

本研究会プロジェクトの趣旨,これまでの背景
各共同研究員による研究紹介と本研究プロジェクトでの研究予定
今後の予定

これまでの背景と本研究会プロジェクトの趣旨
椎野若菜
東京外大AA研

プロジェクトの発起人である椎野の関心事はフィールドにおける研究対象ともなった寡婦の存在についての分析であった。社会において寡婦である、寡婦がいる、という民族誌的調査研究から(ケニア・ルオ社会の寡婦についての研究『結婚と死をめぐる女の民族誌―ケニア・ルオ社会における寡婦が男を選ぶとき』(2008年、世界思想社)、寡婦についてのいわゆる通文化的研究(『やもめぐらし―寡婦の文化人類学』2007年、明石書店)を行ってきた。本研究のプロジェクトメンバーも『やもめぐらし』が出発点となっている。そして寡婦からより大きな枠組み、「シングル」へとパラダイム転換し、日本社会のシングルを意識しながら個々のフィールドでのシングルの在り方を分析してみようとこれまで共同研究をすすめてきた。
そこでシングルの研究の2期的位置づけとなる本研究は、「シングル」とされる人間の存在とその生き方について、それと相反し強化しあうかのような存在である、当該社会における家族親族、またくわえて個々人に少なからず影響を及ぼす国家の存在との関係性を念頭に、縁(えにし)という言葉を手がかりに社会-文化人類学(以下、人類学と記す)の立場から追究するものである。
現代社会における個人の生き方は多様化してきている。出稼ぎ、単身赴任、留学、宗教的理由、また被災、少子高齢化といった要因で頻繁に人は移動し分散し、こうした社会的環境の変化によってライフスタイルや人と人との関係性も大きく変化している。いったん崩壊したかにみえた近代家族だが、それをモデルにした擬似的な「家族的」なものを求め、近年、人々がつながりだしている事象がみられる。
以上のような現代の事象をもとに、本研究はアジア・アフリカを中心に家族、社会の実態と、それらによって創出されたとも考えられる「シングル」の生きる戦術を明らかにする。さらにこうした作業により、固定されがちなシングルに対する現代的な社会理念、シングルの存在の対として位置づけられがちな理想像として生産される家族(像)について、人類学の立場から検討する。

以上、本プロジェクトの趣旨と目的等を共有したのち、各共同研究員による研究紹介と本研究プロジェクトでの研究予定を発表してもらい、また今後の予定について話し合った。
 

DATE : 2013.03.04

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